专利摘要:
心臓弁などの組織工学により作製された構造物を生産するための方法は、バイオリアクターチャンバ中に細胞播種足場を供給し、バイオリアクターチャンバを細胞播種足場によって第1の区画と第2の区画とに分けるステップと、細胞播種足場をバイオリアクターチャンバ内部の培養液の流れにさらすことによって、細胞播種足場を組織構造へ、そしてさらに組織構造物へと発達させるステップと、培養液の流れによって、発達中の組織構造に対して動的な圧力差をかけることによって、組織構造上に動的歪みを誘導するステップと、を含む。
公开号:JP2011511657A
申请号:JP2010544902
申请日:2009-02-02
公开日:2011-04-14
发明作者:コートスミット、ジェローン;ドリエッセン、ニルス、ヨゼフ、バート;バーイジェンス、フランシスカス、ペトルス、トーマス;ルッテン、マルセル、コルネリウス、マリア
申请人:スティッチング ヴォール デ テクニッシェ ヴェッテンシャッペン;テクニーシェ・ユニバーシタイト・アイントホーベン;
IPC主号:A61L27-00
专利说明:

[0001] 本発明は、組織工学により作製された心臓弁などの構造物を製造するための方法に関する。]
背景技術

[0002] 欧州特許出願公開第1693025(A1)号明細書には、バイオリアクターおよび組織工学により作製された心臓弁を製造するための方法が開示されている。そこでは、心臓弁の弁尖(leaflets)の表面に動的な圧力差(dynamic pressure difference)をかけることによって、発達中の心臓弁が動的歪みにさらされる。]
[0003] この既知の方法の欠点は、構造物を犠牲にし、続いて引張試験または圧子押し込み試験を行うことによってのみ、心臓弁組織の力学的挙動を評価することができることである。その結果、移植された心臓弁の特性がテスト用に犠牲になった心臓弁の特性と同じかどうかまだ確実には分からない状態で、たとえば移植用に第2の心臓弁を得るために、多数の心臓弁を同一の条件下で培養する必要がある。多数の心臓弁を培養することによって、この方法がよりコストの高いものとなり、似たような条件下で培養された第2の心臓弁が、テストされた心臓弁と同じ力学的特性を有することの保証もできなくなる。]
[0004] この方法および最も最近のバイオリアクターシステムの第2の欠点は、負荷をかける際に制御ができないことである。どう歪みが生じるかが分からないにもかかわらず、発達中の心臓弁に対して圧力がかけられる。組織の力学的特性を変化させることによって、培養中に歪みが変化してしまう可能性がある。しかし、組織の再形成に対してかけられた歪みを変化させることによる影響は、まだ知られていない。]
[0005] 心臓弁を発達させるための第2の方法は、米国特許第5899937号により知られている。この方法は、カラードップラーフローマッピング(color Doppler flow mapping)、スペクトルドップラー解析、またはレーザードップラー測風学(anemometry)を利用することによって、大動脈弁の近くの流動場を明らかにする。それらの測定結果によって流速を推定することができる。流速の推定値からせん断応力を計算することができる。この方法はさらに、ビデオ撮影を利用することによって、弁の開閉特性を測定する。この方法では、大動脈圧と、弁を横切る血圧の低下が記録されて、各弁が同じような流動条件におかれていることを確かめるために使用される。この方法の欠点は、力学的特性に関する限り、弁の性能は、破壊的および/または侵襲的な方法によってしか判断できないことである。]
先行技術

[0006] 欧州特許出願公開第1693025(A1)号明細書
米国特許第5899937号]
[0007] 本発明は、上述の問題を解決することを目的とする。また、本発明は、
バイオリアクターチャンバ中に細胞を播種した足場(細胞播種足場:cell−seeded scaffold)を供給することによって、バイオリアクターチャンバを細胞播種足場によって第1の区画と第2の区画とに分離するステップと、
細胞播種足場をバイオリアクターチャンバ内部の培養液の流れにさらすことによって、細胞播種足場を組織構造へ、そしてさらに組織構造物へと発達させるステップと、
培養液の流れによって、発達中の組織構造に対して動的な圧力差をかけることによって、組織構造上に動的歪み(dynamic strain)を誘導するステップと、
動的な圧力差を測定するステップと、
発達中の組織構造の体積の変化を測定するステップと、
測定された体積の変化および組織構造がバイオリアクター内部にあるときに組織構造上にかけられた圧力差から、組織構造の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップと、
決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えているどうかを判定するステップと、
決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えていない場合には、組織構造を動的な圧力差にさらし続けることによって、動的歪みを誘導するステップと、
決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えている場合には、組織構造を動的歪みを誘導するための動的な圧力差にさらし続けることを停止するステップと、を含む方法を提供する。]
[0008] これらのステップによって、培養された心臓弁の弁尖のような組織構造物(または組織構造物に発達する組織構造)の力学的特性を、リアルタイムの非侵襲的で非破壊的な方法によって、正確に特性評価やテストを行うことが可能になる。さらに、その方法は組織の再形成を長時間かけてモニタするために使用することもできる。これらのステップによって、心臓弁の代替物のような、組織工学により作製された構造物の組織工学用の調整プロトコールを使用することがさらに可能になる。この場合、閾値は、弁の少なくとも1つの力学的特性を示すために使用される所定の値である。この閾値をたとえばインプラントとして使用される弁の性質と関係づけることができるため有利である。少なくとも1つの力学的特性について、測定された値の大きさが閾値を上回ったら、組織構造が組織工学により作製された構造物になったとみなすことができる。体積の変化は、単一の負荷サイクルにおいて、バイオリアクターチャンバの第2の区画から出て後に第2の区画に再び入ってくる培養液の量として定義されることに注意する。]
[0009] 本発明の好適な実施態様によると、本方法は、測定された体積の変化から局所的な組織の歪み(strains)を決定するステップを含む。局所的な組織の歪みを決定できることによって、組織構造が発達する際にかけられた機械的な負荷による影響を、系統的に研究することが可能となる。]
[0010] さらに好適な実施態様によると、本方法は、数値モデルを適用することによって、組織構造および/または局所的な組織の歪みの少なくとも1つの力学的特性の大きさ(magnitude)を決定するステップを含む。数値モデルを利用することによって、発達中の組織構造の力学的特性を、リアルタイムに非侵襲的で非破壊的な方法によって決定することが可能となる。]
[0011] 本発明の別の好適な実施態様は、上述の(previous)方法に従った方法であり、測定された局所的な組織の歪みに応じて、および/または測定された組織構造の少なくとも1つの力学的特性の大きさに応じて、動的な圧力差を変化させるステップをさらに含む。このようにして、組織構造の発達を最適化することができる。]
[0012] 本発明の別の好適な実施態様は、好ましくは10kPa〜20kPa、より好ましくは13kPa〜17kPaの最大値まで、動的圧力を徐々に大きくするステップをさらに含む、上述の方法に従った方法である。これによって、発達する構造物の組織が周期的に歪む結果、細胞増殖および機能的組織の形成が助長される。]
[0013] しかし、別の好適な実施態様は、0.1Hz〜10Hz、より好ましくは0.5Hz〜3Hzの周波数を有する動的な圧力差をかけるステップによって特徴づけられる。この動的な圧力差によって、心拍の連続(sequence)の生理値と似た周波数範囲で、弁に対して局所的な組織の歪みが引き起こされる。]
[0014] 組織構造が十分に発達することができるようにするためには、動的な圧力差が少なくとも6日間かけられるのが好ましく、16〜28日間かけられるのがより好ましい。]
[0015] 細胞播種足場を2ml/分〜6ml/分の速度で培養液の連続する流れにさらすことによって、細胞播種足場を組織構造へと発達させるのが好ましい。このステップによって、播種された細胞が発達し、足場に付着することができる。また、このステップによって、細胞に新鮮な栄養を供給することができる。]
[0016] バイオリアクターチャンバ中の培養液の連続する流れは、動的な圧力差が発達中の組織構造に対してかけられる前に、少なくとも3日間かけられることが好ましい。]
[0017] 他にも方法はあるが、本発明は心臓弁を製造するのに非常に適している。したがって、好適な実施態様によると、組織工学により作製された構造物は心臓弁である。]
[0018] 心臓弁の組織に発達する組織構造に対する動的圧力は、心臓弁(に発達する組織構造)が閉じた状態でかけられるのが好ましい。このようにして、動的な圧力差および体積の変化の正確な測定を行うことができる。本発明による方法を使用すれば、弁は開くことなく閉じた状態のままである。心臓弁の組織工学では、多くのバイオリアクターが開発されてきたが、ほぼすべてのシステムが生理的流れを模倣しようとしている。これらのシステムは、心臓収縮期と心臓拡張期の両方を模倣して、広範な生理的範囲で機械的な負荷をかけるか、または心臓周期の収縮期もしくは拡張期のシミュレーションに特徴を有するか、のいずれかである。しかし、拡張期もしくは収縮期は心臓周期の耐負荷期を意味する。そこでは、心臓弁の組織に対して大部分の歪みがかけられる。発達中の構造物に対する組織の周期的な歪みの好ましい効果は実証されてきた。組織の周期的な歪みは、細胞増殖および機能的組織の形成を助長する。さらに、静的な制御に比べて、引張強度が極度に増大し、組織が硬化することが観察される。]
[0019] ドナーであるヒトまたは動物の組織構造物を力学的特性に関してテストしなければならない場合にも、本発明によって利益が得られる可能性がある。この点で、本発明は心臓弁などの組織構造物をテストする方法とも関係する。本発明は、
テストされる組織構造物、好ましくは閉じた状態の心臓弁をバイオリアクターチャンバ中に供給し、バイオリアクターチャンバを組織構造物によって第1の区画と第2の区画とに分けるステップと、
組織構造に対して動的な圧力差をかけることによって組織構造上に動的歪みを誘導するステップと、
動的な圧力差を測定するステップと、
組織構造物の体積の変化を測定するステップと、
測定された体積の変化および組織構造上にかけられた圧力差から、組織構造物の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップと、を含む。]
[0020] 組織構造物は、こうして一般にリアルタイムに非侵襲的で非破壊的な方法によってテストされてもよい。これによって組織構造物は弁へと成長し発達することが可能となる。性能を評価するために、これらの弁をバイオリアクターの内外で機械的なテストにかけることなく、弁をインプラントとして直ちに使用することができる。これによって、移植の前に弁を汚染してしまうリスクをかなり低減することができる。汚染してしまうと、弁をインプラントとして使用することができなくなる。さらに、弁の力学的特性を測定することで弁が犠牲になってしまうような方法は、もはや使用する必要がない。]
[0021] 本方法は、動的な圧力差をかけるために組織構造物をバイオリアクターチャンバ内部の培地の流れに対してさらすステップ、および/または組織構造物がバイオリアクターチャンバの内部にある間に、組織構造物の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップを含むのが好ましい。]
[0022] 本発明を以下の図を参照してより詳細に説明する。]
図面の簡単な説明

[0023] 2つの調整プロトコールを示す。
かけられた圧力差、引き起こされた歪み、および力学的特性の間の数値的に得られた関係である。
図1aに示した調整プロトコールに従って培養された、2つの培養された心臓弁の弁尖に対してかけられた圧力差と、引き起こされた体積の変化との間の、測定された関係およびフィッティングを行った(予測された)関係を示す。
図1bに示した調整プロトコールに従って培養された、4つの培養された心臓弁の弁尖に対してかけられた圧力差と、引き起こされた体積の変化との間の、測定された関係およびフィッティングを行った(予測された)関係を示す。
2つの既定の機械的な調整プロトコールを示す。これらは組織工学により作製された心臓弁に対してかけられる既定の体積の変化(ml)を示す。下側の歪みプロファイルはプロトコール3(実験3用)を示し、上側のプロファイルはプロトコール4(実験4用)を示す。
培養時間(日)の関数として示された、組織工学により作製された心臓弁A、B、C、およびDの測定された体積の変化値(ml)を示す(実験3)。
培養時間(日)の関数として示された、組織工学により作製された心臓弁A、B、C、およびDの測定された体積の変化値(ml)を示す(実験4)。] 図1a 図1b
[0024] (詳細な説明)
図2は、心臓弁の弁尖に対してかけられた圧力差[kPa]、引き起こされた歪み[ml]、および剛性率×心臓弁の厚さで定義される力学的特性[kPa・m]の間の数値的に得られた関係である。] 図2
[0025] 心臓弁の弁尖にかけられた圧力および引き起こされた体積の変化(induced volumetric deformation)の組み合わせを、心臓弁の弁尖の力学的特性に関連づけるために、心臓弁の準静的な数値モデルを採用する。このモデルでは、弁尖は圧縮できないと仮定される。したがって、全コーシー応力(σ)は静水圧(p)と余分な応力(τ)とに分かれる。
σ=−pΙ+τ (1)]
[0026] 非線形の力学的挙動をモデル化するために、以下の非線形ネオフック(Neo−Hookean)モデルが使用される。
τ=G(Β)(Β−Ι) (2)]
[0027] 式中、剛性率Gは以下の式から計算される。
G(Β)=G0(Ιl(Β)/3)n (3)]
[0028] 式中、G0とnは材料パラメータである。Il(Β)(=tr(Β))は、左コーシー−グリーン歪みテンソルの第1の不変量をあらわし、Β=F・Fτから計算される。ここでFは歪み勾配テンソルである。パラメータnは、構成方程式の非線形性の程度を表す。つまり、「n>0」は、負荷が強くなるのに伴って材料が硬くなることを示す。一方、「n<0」は、柔らかくなることを示す。]
[0029] 解かなければいけない平衡方程式は、運動量の保存と、非圧縮性固体に対する質量である。]
[0030] ]
[0031] J−l=0 (5)]
[0032] 式中、J(=det(F))は、歪まずストレスのかかっていない形状と歪んだ形状との体積変化率をあらわす。]
[0033] 閉じた形状の弁尖の有限要素メッシュ(finite element mesh)は対称であるため、弁尖の半分のみから構成されている。対称性の端部(symmetry edge)において、正常方向への節の変移(nodal displacement)は抑制される。固定された端部の底(心室)側において、節の変移はすべての方向に抑制される。固定されていない端部において、接触面は隣接する弁尖の接合を形成するように規定される。ここでは弁尖の半径は12mmに設定される。弁尖の上面に圧力がかけられることによって、かけられた心臓を拡張する弁内外の負荷が形成される。その後、体積の変化が計算される。]
[0034] かけられた圧力、引き起こされた体積の変化、および装着された心臓弁の力学的特性の三次元的関係を得るために、シミュレーションを行った。力学的特性は、心臓弁の厚さ(t)と剛性率(G)との積として定義した。また、力学的特性は、モデルに対する入力データとして、異なる組み合わせで使用した。これらの入力パラメータの範囲は、先行研究の実験データを含めるために選択した。剛性率(G)は0.1〜2.0MPaの範囲で変化させ、厚さ(t)は0.35〜1.0mmの範囲で変化させた。心臓弁の非線形材料の挙動の次数(n)は、n=10で一定に保たれた。あらゆる組み合わせの厚さおよび剛性率に対し、0〜15kPaの範囲の圧力差を弁に対してかけることによって、引き起こされた歪みを計算した。そうしてそれらの量の三次元的関係が得られた。しかし、すべての圧力−歪みのセットが力学的特性に対して1つの固有の値となるような三次元プロットを得るために、シミュレーションの結果を用いて表面のフィッティングを行った。]
[0035] 実施例1(実験1および2)
当業者に周知の方法にしたがって、細胞が培養され足場上に播種された。バイオリアクターチャンバ中に供給された細胞が播種された足場(細胞播種足場)を、培養液の連続的な流れ(2ml/分〜6ml/分の速度)にさらすことによって、播種された足場を組織へと発達させた。細胞播種足場は、バイオリアクターチャンバ中で培養液の連続的な流れに3日間以上さらすのが好ましい。]
[0036] 次に、0.1〜10Hzの周波数の動的な圧力差を、心臓弁の弁尖に対して6日間以上(好ましくは16〜21日間)かけた。2つの調整プロトコールが図1に示されている。図1では、組織工学により作製された心臓弁1−1および1−2(図1a)ならびに心臓弁2−1〜2−4(図1b)に対してかけられた負荷(applied load)が、培養時間の関数として示されている。第1の実験(実験1)では、9日間にわたり負荷がかけられた。負荷は3日ごとに大きくした。9日間の処理後、負荷は一定に保たれた。3週間の総培養時間経過後、心臓弁(弁1−1および弁1−2)が使用された(図1a)。第2の実験(実験2)では、実験が終了するまで、かけられる応力を3日ごとに段階的に増加させた。心臓弁の培養は3週間後(弁2−2および弁2−4)、および4週間後(弁2−1および弁2−3)に終了させた(図1b)。] 図1 図1a 図1b
[0037] 第1の実験で培養された心臓弁の弁尖に対してかけられた圧力差[kPa]と引き起こされた体積の変化[ml]との間の測定された関係、およびフィッティングを行った(予測した)関係が、図3aおよび図3bに示されている。弁1−1(図3a)および弁1−2(図3b)では3週間の培養後、使用する直前にデータが得られた。] 図3a 図3b
[0038] 第2の実験で培養された心臓弁の弁尖に対してかけられた圧力差[kPa]と引き起こされた体積の変化[ml]との間の測定された関係、およびフィッティングを行った(予測した)関係が、図4に示されている。弁2−2(図4b)および弁2−4(図4d)では3週間の培養後、弁2−1(図4a)および弁2−3(図4c)では4週間の培養後、使用する直前にデータが得られた。] 図4 図4a 図4b 図4c 図4d
[0039] 表1は、心臓弁の相対漏出量(漏れ(%))および実際の心臓弁の測定値と本発明による予測値との間の相関係数を示す。表1から分かるように、測定値と予測値との間には強い相関関係が存在する。心臓弁2−2の場合だけ相関係数が少しだけ低い。これは心臓弁2−2の相対漏出量が高いためである。負荷をかける際に、流量測定を行うことによって、体積の変化および心臓弁の弁尖の漏れを評価した。体積の変化は、単一の負荷サイクルにおいて、第2の区画側においてバイオリアクターから出て後に再び入ってくる培養液の量として定義された。第2の区画からバイオリアクターを出る正味の流れ(net flow)は、弁から漏れる液体の量として定義された。]
[0040] これが示すのは、組織工学により作製された人工器官を製造するための本発明にしたがった方法によって、組織工学により作製された心臓弁の弁尖の力学的特性を、培養中および培養後にリアルタイムで非侵襲的かつ非破壊的に、総合的に評価することが可能になるということである。したがって、本方法は、リアルタイムで非侵襲的かつ非破壊的な品質チェックとして機能することができる。]
[0041] ]
[0042] 実施例2(実験3および4)
心臓弁を播種した後、構造物がバイオリアクターシステム中に配置され、低速(4ml/分)で循環する培地に12日間さらされる。それにより、播種後の初期の組織発達が可能となる。その後、(1Hzにおける)動的な圧力差が心臓弁の弁尖に対して16日間かけられる。総培養時間には、(低速で)培地を循環させることも、人工心臓弁に対して動的な負荷をかけることも含まれる。]
[0043] 両方の実験において、2つの異なる所定の力学的な調整プロトコールが、組織工学により作製された弁に対して適用された(図5)。負荷をかけることによって、歪みを制御した(deformation controlled)。動的な負荷の大きさは、組織培養13日目から21日目まで弁尖の歪みの程度の増大が誘導されるように制御された。21日目から培養終了まで、体積の変化が0.1ml(プロトコール1)および0.15ml(プロトコール2)の値で一定に保たれた。いずれの実験でも、心臓弁AおよびBに対してはプロトコール1が適用され、心臓弁CおよびDに対してはプロトコール2が適用された。] 図5
[0044] 心臓を拡張する制御された負荷を培養された心臓弁に対してかけるために、プロトコール1または2にしたがった規定の歪みが組織工学により作製された心臓弁の弁尖において誘導されるように、かけられる負荷の大きさが調整された。脈動ポンプを制御する歪み制御ループをバイオリアクターソフトウェア中に実装することによって、培養された弁では所望の歪みが得られた。この制御ループによって、誘導され、したがって測定された歪みがプロトコール1または2の所定の負荷に似るようにすることによって、かけられた負荷を調整することが可能になる。かけられた負荷は、調整中に調節されなければならない。それは、弁の力学的特性は調整中に変化するからである。調整は、ある負荷において体積の変化に影響を及ぼす。]
[0045] 図6aと図6bは、調整中における体積の変化の測定結果を示す。図6aの測定値は、調整プロトコール1を用いて得られた。図6bの測定値は、調整プロトコール2を用いて得られた。適用されたいずれのプロトコールでも、かけられた負荷は、弁の歪みが規定の歪みに対応するようにするために、連続的であった。表2は、規定の体積の変化と実際に測定された体積の変化との相対誤差を示す。これらの結果が示すのは、調整プロトコールを用いて弁を培養することが可能であるということである。調整プロトコールは、かけられた負荷を個々の弁の力学的特性に適合させる。発達中および発達後の弁の力学的特性を評価できることともに、最適な調整プロトコールに従って弁を培養することが可能である。それは、弁の力学的特性の変化に対して調整を適合させることができるからである。] 図6a 図6b
[0046] ]
权利要求:

請求項1
心臓弁などの組織工学により作製された構造物を製造するための方法であって、バイオリアクターチャンバ中に細胞播種足場を供給し、バイオリアクターチャンバを細胞播種足場によって第1の区画と第2の区画とに分けるステップと、細胞播種足場をバイオリアクターチャンバ内部の培養液の流れにさらすことによって、細胞播種足場を組織構造へ、そしてさらに組織構造物へと発達させるステップと、培養液の流れによって、発達中の組織構造に対して動的な圧力差をかけることによって、組織構造上に動的歪みを誘導するステップと、動的な圧力差を測定するステップと、発達中の組織構造の体積の変化を測定するステップと、測定された体積の変化および組織構造がバイオリアクターチャンバ内部にあるときに組織構造上にかけられた圧力差から、組織構造の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップと、決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えているどうかを判定するステップと、決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えていない場合には、組織構造を培養液の流れにさらし続けることによって、動的歪みを誘導するステップと、決定された少なくとも1つの力学的特性の大きさが所定の閾値を越えている場合には、組織構造を培養液の流れにさらし続けることを停止するステップと、を含む方法。
請求項2
測定された体積の変化から局所的な組織の歪みを決定するステップに特徴を有する請求項1に記載の方法。
請求項3
数値モデルを適用することによって、組織構造および/または局所的な組織の歪みの少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップに特徴を有する請求項1または2に記載の方法。
請求項4
決定された局所的な組織の歪みによって、および/または決定された組織構造の少なくとも1つの力学的特性の大きさによって、動的な圧力差を変化させるステップに特徴を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
請求項5
動的な圧力を徐々に増大させるステップに特徴を有する請求項5に記載の方法。
請求項6
10kPa〜20kPa、より好ましくは13kPa〜17kPaの最大値まで、動的圧力を徐々に大きくすることを特徴とする請求項6に記載の方法。
請求項7
0.1Hz〜10Hz、より好ましくは0.5Hz〜3Hzの周波数を有する動的な圧力差をかけるステップに特徴を有する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
請求項8
少なくとも6日間、より好ましくは16〜28日間、動的な圧力差をかけるステップに特徴を有する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
請求項9
細胞播種足場を2ml/分〜6ml/分の速度で培養液の連続する流れにさらすことによって、細胞播種足場上の細胞を組織構造へと発達させるステップに特徴を有する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
請求項10
バイオリアクターチャンバ中の培養液の連続する流れが、動的な圧力差が発達中の組織構造に対してかけられる前に少なくとも3日間、細胞播種足場に対してかけられるステップに特徴を有する請求項10に記載の方法。
請求項11
組織工学により作製された構造物が心臓弁であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
請求項12
閉じた状態の心臓弁に発達中の組織構造に対して動的な圧力がかけられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
請求項13
心臓弁などの組織構造物をテストするための方法であって、テストされる組織構造物をバイオリアクターチャンバ中に供給し、バイオリアクターチャンバを組織構造物によって第1の区画と第2の区画とに分けるステップと、組織構造に対して動的な圧力差をかけることによって組織構造上に動的歪みを誘導するステップと、動的な圧力差を測定するステップと、を含み、組織構造物の体積の変化を測定するステップと、測定された体積の変化および組織構造上にかけられた圧力差から、組織構造物の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップと、に特徴を有する方法。
請求項14
動的な圧力差をかけるために、組織構造物をバイオリアクターチャンバ内部の培地の流れにさらすステップに特徴を有する請求項13に記載の方法。
請求項15
組織構造物がバイオリアクターチャンバの内部に存在する間に、組織構造物の少なくとも1つの力学的特性の大きさを決定するステップに特徴を有する請求項13または14に記載の方法。
請求項16
テストされる組織が閉じた状態の心臓弁であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
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US20110033885A1|2011-02-10|
引用文献:
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法律状态:
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优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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